第1回:平成24年9月29日(土)
会場:小樽市生涯学習プラザ「レピオ」
「オタルまちかど大学」の第2期が始まりました。第1回目の講師は、医療法人 社団青優会 南小樽病院 病院長の矢野 諭先生で、講演のテーマは、『超高齢社会を生きる 〜求められる新しい高齢者像〜』。一般の参加者と当NPOのメンバー約50人が矢野先生の講演に耳を傾けました。
65歳以上の高齢者が7%を超えたら「高齢化社会」、14%を超えたら「高齢社会」、現在の日本は23%を超えている「超高齢社会」だ、という高齢社会の定義から始まった講演でしたが、パワーポイントの80枚の資料を提示しながらの先生の歯切れの良い講義は、特に高齢化率32%という小樽に住む私たちにとっては大変参考になる内容でした。
老人医療、求められる新しい高齢者像、超高齢社会をどのように生きるか、健康の捉え方、知的機能の低下を防ぐことは可能か、在宅医療とICTなどの多彩な内容の講演でしたが、なかでも興味深かったのは、「ウイズエイジング(With Aging)」についてです。肉体面の外見や機能を再重要視する「アンチエイジング(Anti Aging)」に対し、「ウイズエイジング」は、肉体は精神の働きを生かすための道具である、という考え方。また、時間的側面では、瞬間の謳歌(今私は若く見えるか)という「アンチエイジング」に対し、「ウイズエイジング」は、年をとることは避けられないものとして、かつ積極的価値を見出していこうとする考え方です。
新しい高齢者像としては、基本は「老いと寄り添うアンチエイジング」であり、「医療従事者として病気のリスクを高める好ましくない生活習慣を積極的に推奨することはない。しかしどのような生き方を選択するかは、最終的には個人の価値観の問題である。」と、纏められました。
高齢者自身の心のもちかた、そばにいる家族の役割、そして病院や医療従事者の方とどのように向き合っていけばよいのかを考えさせられる、大変内容の濃い講義でした。